不動産業と税務署

税務署から見た不動産業者の印象税務署から見た不動産業者の印象他業種に比べ税務調査が多いなど、税務署から目の敵にされている印象があります。税務署では、毎年度、要重点業種を決めて優先的に税務調査に入りますが、不動産業は毎回のように選ばれることが多いようです。理由としては、不動産業が扱っている商材の性格上、どうしても多額の資金が動く取引が多いことから、売上高の多寡により目立つということがあります。

また仲介にしても売買にしても何月に売れるか、現実には売り手の都合どおりにはいきません。従って予想外に決算間近に売上が立ち、決算対策をする間が無かったということが往々にしておきます。このような時に無理な決算対策をして急場をしのぎ税金を圧縮しようとすると、節税を通り越して違法な脱税に手を出してしまう危険があります。

不動産業者が行う税金の不正は滅多に無いとは言え、一度起こると多額なものになることから、そのリスクを考えて税務署としてもより力を入れて対応しているように思われます。

営業に直結した接待交際費レアな物件情報は夜の酒の席からというのは業界の常識です。接待交際費がかさむことは営業上致し方ないことですが、税務上は上限がある等全額が経費として認められるものではありません。税務調査でも他業種より目立つ接待交際費を細かく詰問されたりしがちです。必ず参加者を領収書か伝票等に記載しておく必要があります。

不動産に係る税金

個人の不動産売買や個人の相続対策の相談不動産の売買を仲介したり、不動産の新築分譲など、個人の顧客の不動産売買をサポートするには、個人の不動産に係る税金面の悩みを解決する必要が生じます。

不動産をお売りになるお客様には、譲渡所得税の説明が必要になります。取得してから譲渡する年の1月1日までで5年経過していないと短期譲渡所得に該当して所得税住民税の税率が39.63%と高額になってしまうので避けたいという話になります。長期譲渡所得に該当すれば所得税住民税の税率が20.315%ですので、その差は歴然です。またもし買い替えの特例が適用できれば大幅に得になります。

また不動産を購入するお客様は、賃貸用と居住用とではそこに期待する相続税対策の影響が異なります。賃貸用として50%評価減を用いるのか居住用の80%評価減を用いるのか等、相続税対策を考慮するならば、かなり慎重に税理士に相談する必要が出て参ります。

不動産に関わる税金不動産を購入した後数か月後に請求が届く不動産取得税、所有権移転登記や抵当権設定登記等の登録免許税、毎年の固定資産税・都市計画税には十分注意を払う必要があります。古屋を壊して更地にすると固定資産税が上がることをしらずに壊してしまってからでは後の祭りです。

不動産業経営の税金対策

不動産業全般の税金対策不動産事業、特に開発・売買では銀行融資が必須です。そうしますとスムーズな事業融資を受け続けるためには、一定額以上の経常利益を計上することが必要になるため、税金対策よりは赤字対策の方が優先度は高くなります。

とは言え必要以上に利益が出過ぎてしまうのも、痛しかゆしです。できればその資金を翌期以降までプールしたいと考えるのは経営者としては自然な成り行きです。そこで銀行に求められる程度の利益は確保しつつ多すぎる利益を圧縮する決算対策が必要になります。考えられる限りの税金対策をすることになります。

100万円単位以上で損金にできるものとしては下記のもの等が考えられます。
1.将来の退職金見合いの生命保険料年払い
2.経営セーフティー共済掛け金の年払い
3.高額な中古車両の購入
4.時期と金額が合えばレバレッジドリースの購入
5.決算賞与の支給
6.赤字不良物件の処分

消費税の個別対応方式消費税の課税売上割合が95%未満の場合、一括比例配分方式と個別対応方式からどちらかを選択して消費税申告をする必要があります。不動産業で売買をしている場合には、非課税売上に該当する土地売上が多額に発生しますから、通常は課税売上割合が95%未満の場合に当たり、一括比例配分方式か個別対応方式を選択して消費税申告することになります。

消費税の計算にあたっては、何等かの決算対策により消費税を圧縮するということは無理です。消費税に関して注意すべきことは、消費税の納付が決算期末に予想外に起こりますと、資金繰りが厳しくなるということです。通常消費税の納付額は、会計処理方法に関わらずに決まりますから毎月もし今決算を迎えたらいくら消費税を納付しなければならないかが判明しています。しかし不動産業に多い個別対応方式を採用している場合には、最終的な課税売上割合に左右されるために、期末近くの売上が上がるかどうかで大幅に変動することば少なくありません。
従って事前に消費税額を予想していても最終的に大幅に変わるリスクを想定しながら決算準備をする難しさがあります。

なおこの個別対応方式を採用している場合には、消費税だけでなく、控除対象外消費税という特殊な費用も決算時に突如現れますので、利益を確保したい業績状況の場合特に神経をすり減らすことになります。

土地・建物区分の問題売買を行っている場合、仕入れた物件の土地と建物を区分する問題があります。購入時の売買契約書上に消費税額が明記されていれば、消費税額より建物の価額が算定されて、残りが土地の価額となります。しかし売買契約書上に消費税額が明記されていなければ、何等かの合理的な方法で土地と建物の価額を区分しなければなりません。

この合理的な区分方法としてはいくつかの方法が考えられます。

固定資産税評価の土地建物比率で購入額を分けるのが、一番標準的です。しかしそもそも固定資産税評価額自体が一般の取引価額とかい離していますので、例えば土地の固定資産税評価額を0.7割返して実勢価額ベースにして土地価額とし、残りを建物価額にする等考えられる方法のうち最も通常の取引価額に違い感覚の方法を選択することが一般的です。

よほど極端に租税回避の意図が推定されない限り、税務調査で問題になることはありませんが、物件ごとに様々な方法で算定するよりは、できるだけ統一した方法で算定し、特定の場合にのみ理由づけしたうえで他の方法を選択するというのが間違いないことになります。

建売・デベロッパーの経理・税務土地の開発・分譲では、仕入れた土地や建物の原価を個別原価計算方式により区画ごと売却物件ごとに積み上げて管理しておくことが必要になります。この原価をA区画からB区画にとか、A物件からC物件にいくらか原価を横移動すると、正しい利益が算定できず、税金も誤った計算になってきます。

同一年度にすべて売却していれば税務上は問題が生じませんが、決算期をまたいで一部が在庫になる場合、在庫金額が適正化否かは厳しく問われることになりますので、税務調査でも十分に説明できる準備が必要になります。

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